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旧耐震基準の不動産は売却しにくいとされる理由は?売る方法についても解説

不動産

ユキ地物 WEB担当者  

筆者 ユキ地物 WEB担当者  

不動産キャリア42年

旧耐震基準の不動産は売却しにくいとされる理由は?売る方法についても解説

近年、日本各地で大きな地震が多発しているため家を購入する方の目も厳しくなっており、旧耐震基準の不動産売却を検討している方は不安に思っているでしょう。
耐震基準についてきちんと理解し、そのうえで対策を立てるようにすれば、売却しやすくなります。
ここでは旧耐震基準とはなにか、このタイプの不動産が売りにくいとされる理由と売るための方法についてもあわせて解説します。

旧耐震基準とは?不動産売却前に知っておきたいポイント

旧耐震基準とは?不動産売却前に知っておきたいポイント

耐震基準とは地震の際に耐震能力があるかどうかを保証して建築許可を出す基準を指し、建物の中にいる方を守ることを目的として建築基準法で定められています。
国土交通省によって定められた耐震基準は昭和1981年6月1日の法改正によって新しい基準が決められました。
旧耐震基準とは新しい基準が導入される以前の基準を指しており、導入後の基準を新耐震基準と呼んでいます。
両者の大きな違いは耐震性能にあります。
耐震性能とは地震が引き起こすエネルギーを建物がどれぐらい吸収し、どれぐらいの揺れに耐えるのが可能かを表したものです。
旧耐震基準の耐震性能は、震度5クラスの地震が発生した際にほとんど影響を受けないレベルで、これより大きな地震を見込んではいません。
これに対して、新耐震基準の耐震性能は震度5クラスの地震発生時にほとんど影響を受けない点にくわえて、震度6強~7クラスの地震でも崩壊や倒壊しない点を基準としています。
また、木造住宅に関しては2000年6月1日にも法改正がおこなわれており、柱同士の間に入れる筋交いを金具で止める、バランス良く耐力壁を設置するなどの工事が義務付けられました。
そのため、たとえ1981年の法改正後に建てられた家でも、2000年より以前に建てられた木造物件の場合は耐震基準を完璧に満たしていない可能性があります。
宮城県沖地震や阪神淡路大震災など、法改正は大きな地震が起きた後のタイミングでおこなわれ、耐震基準が厳しくされてきました。
つまり既存の家を購入する際に建物の耐震性能を知るためには、旧耐震基準か新耐震基準かが大きな目安となります。

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旧耐震基準の不動産は売却しにくいとされている理由

旧耐震基準の不動産は売却しにくいとされている理由

既存の家を購入する方の多くが大地震への備えについて高い意識を持っており、購入を決断するための材料のひとつとして建物の耐震性を目安にしています。
つまり、旧耐震基準の不動産は大きな地震が発生した際に耐震性が低く、倒壊のリスクが高いと考えているため購入を控える傾向にあり、売却しにくいとされる大きな理由です。
耐震性が低い不動産が売却しにくい理由には、他にもいくつかあるので解説しましょう。

建物が古い

そもそも旧耐震基準に則って建てられた家はどれも築年数が長くすでに40年を越えているため、建物そのものの古さや劣化が目立ちます。
築年数が長い家は地震が起きなくても不具合や破損部分が発生している可能性が高く、購入後に修繕やリフォームが不可欠で費用負担が増えると考えられます。
そのため家に魅力を感じられず、購入に至らないケースが多いでしょう。

住宅ローン控除を利用できない

住宅ローンを利用して家を購入した場合、住み始めてから10年にわたって最大で400万円の住宅ローン控除を受けられます。
ただし、この控除を受けるためには、築後20年以内、現在の耐震基準を満たしている、入居開始までに耐震基準適合証明書を入手する、以上の3点を満たす必要があります。
つまり、旧耐震基準に則って建てられた家の場合、ローンを利用して購入しても住宅ローン控除を受けられないため購入者が少なく、売却を難しくしている理由の一つです。
くわえて、2014年1月からは住宅ローン控除を受けるためには住宅が省エネ基準に適合する条件が設けられました。
建物の省エネ性能によって住宅ローン控除を受けられる借入限度額が異なります。
そして、省エネ基準に適合していない住宅に関しては基本的に0円となり、2023年12月までに建築確認を受けた建物のみ借入限度額が2,000万円になるとされています。
このような要件も含め中古住宅は借入限度額が低く、さらに旧耐震基準の家は耐震性を証明できないとローン控除を受けられません。

地震保険が高額になる

日本各地で大きな地震が起きている近年、地震保険に加入して万が一のときに備える方は増えています。
この地震保険は耐震等級が低いほど割引価格が安くなるのが一般的です。
そのため、旧耐震基準で建てられた耐震等級の低い家の場合は割引が受けられず、したがって保険料が高額になる可能性があります。

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旧耐震基準の不動産を売却する方法

旧耐震基準の不動産を売却する方法

先述したような理由から、旧耐震基準に則って建てられた不動産は購入希望者が少なく、売却が難しいのが現実です。
ただし、売却が難しい理由を踏まえて対策を講じれば売れる可能性もあり、ここからは旧耐震基準の不動産でも売却するための方法について解説しましょう。

リフォーム費用を売主が負担するとアピールする

古い家を売る際に少しでも印象を良くするためにリフォームをする方がいますが、売却前におこなうと失敗する可能性もあります。
リフォームは家の持ち主が好みに合わせておこなうのが理想なので、売主があらかじめ手をくわえても購入希望者の好みに合うとは限りません。
そのためせっかくリフォーム代を払って家の状態を良くしても購入希望者が現れるとは限らず、リフォーム代を回収できない可能性もあります。
そのような失敗を避けるため、あえてリフォームをおこなわずに売りに出し、リフォーム代金を売主が負担するとアピールすると魅力がアップします。
売主が代金を負担してくれて自分好みにリフォームできるのは大きなメリットとなるため、スムーズな売却が期待できるでしょう。

耐震基準適合証明書を取得する

先述したように、旧耐震基準の家は住宅ローン減税を受けられないケースがあります。
しかし耐震基準適合証明書を取得して耐震性を証明できればローン控除を受けられるようになるため、売主が証明書を取得しておけば売却に繋げやすくなります。
耐震基準適合証明書を取得するためには専門的な知識を持っている建築士に診断してもらう必要があり、その際にかかる費用は20万円~50万円前後が一般的です。
ただし、旧耐震基準の場合は耐震基準を満たすための耐震補強工事をしなければ、耐震診断で合格できない点に注意が必要です。
診断を受けて合格できなければ耐震基準適合証明書は取得できないため、前もって補強工事をおこなう必要があり、その際の工事費用は100万円~200万円ほどが相場となります。

立地が良い場合はアピールする

駅近物件と言われる駅から歩いて7分以内のエリアにある不動産であれば、リフォームや耐震補強工事などをおこなわずそのままの状態でも買手が付く可能性があります。
駅に近く主要都市までの交通アクセスが良い立地や、商業施設や病院などが近くにある利便性の高い立地は、耐震性が低くても人気があります。
そのような不動産を売る際には、耐震性よりも立地の良さを優先する方をターゲットにし、立地の魅力を最大限にアピールすれば買主が見つかる可能性は高いでしょう。

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まとめ

日本では地震に対する建物の耐震能力を定める耐震基準が定められており、旧耐震基準とは1981年6月1日の法改正よりも前に決められていた古い耐震基準を指します。
古い基準に則って建てられた不動産は耐震性能の低さをはじめとして、さまざまな理由から売却が難しいのが現実です。
ただし、売却困難な理由を踏まえて売却に繋がるような対策方法を講じれば、スムーズに売れる可能性もあります。


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