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相続した不動産を分ける方法とは?代償分割や換価分割・現物分割を解説

不動産

ユキ地物 WEB担当者  

筆者 ユキ地物 WEB担当者  

不動産キャリア42年

相続した不動産を分ける方法とは?代償分割や換価分割:現物分割を解説

今後不動産を相続される際に1人だけなら問題ありませんが、複数人が相続される場合どのように分割すれば良いのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では相続した不動産の分け方である代償分割、換価分割、現物分割について解説します。
将来トラブルに陥らないよう、ぜひ本記事をご参考頂けますと幸いです。

相続する不動産の分け方:代償分割

相続する不動産の分け方:代償分割

1つ目の分け方の代償分割とは、特定の人のみが不動産取得をして、他に受け取る人がいる場合には法定相続割合に応じた分の代償金を支払って解決する方法です。
兄弟が2人いるケースだと、長男が4,000万円の価値がある土地と建物を相続したら半分の2,000万円を現金で支払います。

代償分割のメリット

メリットは相続した人以外も現金が渡されるため不満が出にくいです。
さらに物理的には分割できない土地を公平に分けられるため、土地を切り離す必要もなく土地と建物の資産価値も維持できます。
受け取る土地と建物に相続人が住んでいる場合も、お金を渡せばそのまま引っ越さずに住み続けられるケースが多いです。

代償分割のデメリット

デメリットは不動産を相続する人の負担が大きくなってしまう点です。
不動産価値が高ければそれなりに代償金を渡す必要があるため、渡す分の現金を準備できるかが代償分割を利用できるカギになります。
現金が準備できないと代償分割を利用するのは難しい可能性があります。
一括で渡せない場合には、分割で支払えるか相談してみましょう。
不動産の評価を決める方法で揉めるケースがあるのもデメリットの1つです。
評価方法は時価や固定資産税評価額、鑑定士に鑑定評価をしてもらうのかなど多岐に渡るため、全員が納得できる方法を見つけるのも手間がかかります。
公平に決めたいなら、中立の立場である不動産鑑定士に評価してもらう方法が良いでしょう。
依頼には多少の費用がかかりますが、なるべくもめ事を起こしたくないなら第三者に依頼する方法がおすすめです。

代償分割の注意点

代償分割の注意点は代償金が贈与とみなされてしまうと、贈与税がかかってしまいます。
遺産分割協議書を作成し、代償金は不動産を取得した際の対価であると記載しておきましょう。
代償金対策として活用できるのが、生命保険の受け取りです。
遺産を所有している方が生命保険を契約したときに、受取人に代償金を支払う相続人名にしておきます。
生命保険で受け取れる保険金は受取人の財産とみなされるため、他の相続人に渡す必要はありません。
代償金の支払いが困難である場合には、保険金を受け取った後に代償金として充てる方法が有効です。
しかし生命保険金は相続税の対象であるため、保険のプランや契約金・コストなど十分に考慮しなければなりません。
生命保険金を代償金代わりにする場合には、ファイナンシャルプランナーなどに一度相談してみましょう。

相続する不動産の分け方:換価分割

相続する不動産の分け方:換価分割

2つ目の分け方:換価分割とは、不動産を売却して得られた売却金を相続人同士で分け合う方法です。
売却金は諸費用を引いて、法定相続割合に応じて分配されます。
3,000万円の土地・建物があり相続人が3人いるケースだと、売却時に諸費用が300万かかったら3,000万円より300万円を引いた2,700万円を1/3ずつに分けます。

換価分割のメリット

換価分割のメリットは、分ける金額が明確になっているため不公平感がなくもめ事にもなりにくいです。
不動産は相続すると固定資産税など維持費がかかってしまいますが、売ってしまえば維持費や相続税などの心配もなくなります。
代償分割のデメリットの1つである評価方法で揉めてしまう点についても、多少の売却額の違いはあれど評価が大きく関わってはこないため、評価方法で揉めずに済みます。

換価分割のデメリット

換価分割のデメリットは譲渡所得税や仲介手数料が発生してしまう点です。
譲渡取得税は万が一不動産を売却した際に、譲渡所得があると譲渡所得税の支払いが必要です。
譲渡取得税は被相続人が不動産を所有していた期間によって変わりますが、利益率の約20%から39%が課税されます。
所有期間が5年以上であれば約20%、5年以下だと約39%も課税されてしまいます。
売却する際には、仲介手数料も支払わなくてはなりません。
仲介手数料や譲渡取得額などの諸費用が高くなってしまい、受け取る売却金が予想よりも大きく下がってしまう可能性もあるでしょう。
デメリットの2つ目は相続人内で売却に反対する人がいたら、換価分割は利用できないため話し合いが必要です。

換価分割の注意点

換価分割の注意点は売却時の名義変更です。
売却時には被相続人から相続する人への名義変更が必要になり、複数人が売却金を分けるなら共有名義にします。
しかし売却活動をする1人のみで相続登記をした場合、売却金を分けるときに贈与税がかかる可能性があります。
贈与税がかからないよう事前に遺産分割協議書を作成するか、面倒でも共有名義にして売却活動をおこなう方法がおすすめです。

相続する不動産の分け方:現物分割

相続する不動産の分け方:現物分割

3つ目の分け方:現物分割は相続する不動産をそのままの形で引き継ぐ方法です。
複数の相続人がいてもその中の1人のみが土地と建物すべてを受け取る方法や、土地が広いケースなら法定相続割合ごとに土地を分けて取得する方法があります。
土地や建物以外にも車や株券などの資産があれば、それぞれを分け合えます。
分け合う場合は、それぞれの土地を登記して別の不動産とみなしますが、できるのは土地のみであって建物は分けられません。
また土地がある場所の条例によってはそれぞれ別の不動産として分け合う行為である文筆自体が禁止されているケースもあります。
分けられたあとの敷地面積の制限をしている場合もあり、最低限の面積がないとその土地には建物が建てられないため土地の大きさには注意しましょう。

現物分割のメリット

現物分割のメリットは代償分割や換価分割のような手続きをしなくて良いため、相続手続きが簡単です。
もし分け合う遺産が複数あればそれぞれがほしい遺産をもらえば良いだけで終わります。
代償金の支払いや売却金の受け取りも、細々と手続きが必要で、誰か1人がおこなうと不公平と感じてしまう場合もあるでしょう。
その点、現物分割は土地と建物は長男なら長男が登記名義をおこなう、次男は車だけ受け取るなら次男が名義変更すれば良いだけで手続きも簡単に終わります。
代償分割では不動産の価値評価が重要ですが、それぞれ好きな遺産をもらうだけなら評価をする必要もないため、評価方法でのトラブルは起こりにくいでしょう。

現物分割のデメリット

しかし1人がすべてを相続する方法や土地と建物以外に分け合う遺産がない場合には、残りの相続人から不満の声があがってしまうデメリットがあります。
不満が高まってしまうと遺産分割協議も進まずもめ事が大きくなってしまうケースもあるでしょう。
土地を分ける場合にも、面している道路の接している具合や分け合ったあとの土地の形などによって土地の資産価値が大きく違ってくる可能性もあります。
現物分割をおこなう際には、親族間トラブルの元となる点も考慮して一度専門家に相談するのも一つの手です。
資産価値が大きく異なってしまう場合には、最終的に資産価値が高い方が低い方へ現金を支払うケースもあるでしょう。
現金でやり取りすると他の分割方法と同様に、贈与とみなされ贈与税が課税される可能性があるため遺産分割協議書の作成が必要です。

まとめ

相続した不動産の分け方には代償分割と換価分割、現物分割の3つがあります。
それぞれにメリットやデメリットがあるため、相続するご家族や親族が納得できる方法で分割を進めましょう。
分割はトラブルに発展する可能性があるため、状況によっては専門家に相談するのもおすすめです。


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